2022年6月、愛媛県びまん性肺疾患研究会では2年ぶりの研究会をオンラインで開催し、多くの先生が参加されました。研究会での画像表示にLOOKRECを採用いただき、発表も担当された愛媛大学放射線科の井手先生にお話をお伺いしました。井手先生は放射線科医として全般的な読影をしながら研究分野では呼吸器を専門にされています。
びまん性肺疾患研究会とは
びまん性肺疾患は肺全体が広範囲にわたって異常を来す肺の病気という意味で、原因が分からない特発性のほか、膠原病で起こるものもあれば、薬剤性といって薬で起こる疾患もあり、原因は様々なのですが、総称したものがびまん性肺疾患です。肺が線維化して硬くなっていくこともあります。
「愛媛びまん性肺疾患研究会」は、愛媛県の内科、外科、病理、放射線科の先生が集まって、びまん性肺疾患について勉強する会です。県内だけなので50〜60人と小規模ですが、東京や大阪では何百人と集まっていると思います。この研究会では、臨床的な症状や血液検査の結果、画像で何の疾患かクイズ形式で回答していくというようなことをやっています。
びまん性肺疾患の研究会には肺全部のスライス画像がないと成り立たない
主には胸部単純X線写真とCT画像を見ます。CTはスライスが薄くなって画像も多く、細かいところまでよく見えるようになりました。臨床検査や血液検査もあわせて診断しますが、メインとなるのが画像診断、特にCT画像で診断しています。最終的には手術や気管支鏡で組織を採って診断します。
部分的に異常がある疾患ならキー画像が何枚かあればいいのですが、びまん性肺疾患では肺全体に異常があるため、びまん性肺疾患をCT画像で読影していく際にはその中から読影のポイントとなる画像を探すことが大切なので、全部のスライスを見る形式でないと研究会が成り立ちません。
会場に集まって全部のスライスを見て、ここのスライスがポイントだとかその場その場で言っていたのがWeb上だとできなくなってしまいました。そのせいでコロナ禍前は半年ごとに開催していたのが、2年くらい止まっていたんです。
どこからでもアクセスでき研究会への参加ハードルが下がった
今回は発表者のみホテルの小さな部屋に集まって、参加者はWebで閲覧という形になりました。ご自宅からも参加できるというのが手軽だったようで、実は今回一番参加者が多かったと聞いています。びまん性肺疾患というのが専門性の高い分野なので、今までは会場まで行くのを躊躇していた層がオンラインで見られるのなら1回見てみようかなと参加してくださったんじゃないでしょうか。
2-3シリーズ程度の同期ならホテルのwi-fi環境でもスムーズに表示
私自身や周りの先生に話を聞く限りはとてもスムーズで困ることはありませんでした。他の先生の発表はホテルのWi-Fiで参加していたのですが、問題なく読影出来ました。実際の読影となると何シリーズも画像を同期させて何シリーズも見ることがありますが、2～3シリーズ程度を同期させるくらいですから。
エムネスさんには有線LANを推奨されましたが実際はWi-Fiでも大丈夫でしたし、画質もきれいで操作性もすごくよかったです。内科の先生は今までクラウドビューワを使うことがなかったようですが、実際操作してみると使いやすいとお褒めの言葉をいただきましたよ。
新たなアカウント作成も不要で登録やアップロードも簡単
放射線科以外の先生にとっては「クラウドでDICOM画像が見られる」ということにあまりピンと来ないようでしたが、実際は招待メールがきて利用規約に同意して進めば登録が済むので、感覚的に使えたようです。新しくIDとパスワードを設定するのは敷居が高くなると思うのですが、大体の先生はGoogleのアカウントを持っていたので、それでログインできたのは簡単でした。
DICOMデータのアップロードは出題者の先生ご自身でされていました。これまでは主催の製薬会社さんがCD-ROMかUSBで画像データを取りに来て下さる必要があり、そのためにアポイントを取ってデータを受け取って回答担当の先生にお渡しして…と大変そうでしたので、だいぶ簡略化されたと思います。
Goolge Cloud Platformの安全性については説明を受けて納得
クラウド技術の面でも医療の面でも、専門のサービスでないと安心して医療データを預けられないと思っていましたが、事前に説明を受けていたので納得して使えました。今までにそういう安心して使えてかつ手軽なサービスというのが周りに無かったので今回すごく助かりました。
研究会で画像共有をするサービスをずっと探していたのですが、金額がわからないとか、実際に使っている人がいないようなサービスは怖くて躊躇していました。LOOKRECは医療機器メーカーの方に紹介していただいて、10月にも中国四国胸部放射線研究会で使う予定だとも聞き、それならと採用を決めました。全国に同じような研究会がたくさんあると思うので、このサービスを知ったら利用したいと思う先生はもっといると思います。
研究会での利用ではLOOKREC上で匿名化できるとさらに便利
今回、アップロードする時に生年月日を登録していない症例にエラーが出てしまったんです。自分のPCのDICOMビューワ上で架空の日付に書き換えてなんとかなりましたが、アップロード後にLOOKREC上で書き換えができると便利ですね。遠隔読影システムとして使う場合は書き換えられては困るのでそういう仕様なのは理解できますが、研究会では個人情報をそのままアップロードしてしまう先生がいても不思議ではありませんから。
コロナ禍でなかなか研究会を開催できず立ち消えしてしまいそうだったので、2年ぶりに復活することができて、参加される先生方にとても喜んでいただけました。リアルタイムに画像を閲覧しながら症例検討を行うという今までの研究会と同じ形式でWeb上でできるなんて思わなかったと。
10月にもLOOKRECを使って研究会を開催する予定です。引き続きよろしくお願いします。