仙台市の中核病院である仙台厚生病院は、石巻市にある仙石病院とLOOKRECで繋がっています。それによって患者さんのトリアージ、搬送されてから手術までの時間を大幅に短縮し救命に役立っているとのこと。仙台厚生病院の齋藤先生(消化器)にお話をお伺いしました。

クラウド画像共有が有効に活用できる距離

東日本大震災で有名になりましたが、仙台には海側の地域があって街があります。その一つが仙石病院のある石巻です。

仙台市の医療圏からは少し離れている地域になりますので、例えば大動脈解離のような緊急の疾患の対応に困ることがあります。重症な疾患が発生したときに即座に受け入れられるかというと、そういう時ばかりではありません。仙台厚生病院から石巻は救急患者を紹介してもらう距離としては遠すぎない絶妙な距離です。これより遠いとLOOKRECで画像を連携しても間に合わないかもしれませんが、LOOKRECのすぐに連携できる機能が活用できる距離といえます。

また、一旦地域の仙石病院でCTを撮ってLOOKRECで送ってもらうことで、疾患の特定と手術や治療の必要性を判断することができるというのもLOOKRECの利点です。

仙台厚生病院は循環器、呼吸器、消化器に選択・集中している病院なので、この領域での緊急疾患が発生した場合に円滑に紹介いただくためにLOOKRECを活用しています。

画像があるからこそ分かることは非常に多い

例えば脳梗塞やくも膜下出血でも専門の先生でないと結構わからないんですよね。本当にくも膜下出血なの?ということもあります。

また、くも膜下出血なのはわかるけれど、すぐに治療が必要なのか、それともそうじゃないのか。あるいは治療戦略としてはどういうことを考えられるのかが、画像を持っていればある程度目処がつけられます。

同じようなことを循環器とか私の専門の消化器でもあるので、画像をそのまま共有してもらえると、これは診断確定で間違いないと確信を持って受け入れられる。いろいろな治療の準備ができる。これはすぐに治療が必要だとか、治療の戦略はこれというものが立てられるというメリットがあるんですよね。

病院に到着して最短40分でオペを始められるケースも

高速道路を使っても石巻から仙台まで1時間くらいかかるので、その間に画像確認、診断、治療方針の決定などができることもあります。実際の救急はとてもゴタゴタしているので理想論ではありますが、病院到着から最短40分程度でオペを行えるケースもありました。ただ、インフォームコンセント(手術の同意)を取る必要があるのでそれが最短だと思います。

LOOKRECがないことを考えると、患者が病院に到着して、そこで他の病院で焼いてきたCD-ROMを取り込み、CTの画像を見て、その場でドクターが手術が必要が判断し、外科の先生にも判断を仰ぎ、これは手術しようとなってはじめて病棟にあがって段取りします。看護師や夜中だったらスタッフをそこから呼び出します。

それを、到着前に画像情報にアクセスすることで手術までの時間を大幅に短縮する、ということを目標にしてやっています。

画像があることで治療戦略のディスカッションができる

救急だけではなく消化器内科でもよく画像のやりとりはしています。よく紹介いただくのはすい臓がんとか胆管がんとか、高度に専門的な治療が必要な疾患です。

これらは画像の読影が難しいのもありますが、これらのがんがあった時にどういう処置ができるか、黄疸が出た時にそれを解消してあげることができるかどうかといったことは消化器の専門の先生が画像を見ればわかります。

放射線科の先生が診断した後、治療するとなったときの目線でこういう風に内視鏡の治療ができるという次のステップの意見が画像があるとすぐに言えます。だからよく相談をいただくのが、黄疸で体が真っ黄色になってしまってCTとかの写真を共有してもらうようなケースですね。多分ここにがんがある、結石が詰まっているということをディスカッションします。その日のうちに来た方がいい状態なのか、スケジュールを考える余裕があるのか、ディスカッションできます。

このディスカッションするのにも、画像がない状態で言葉だけで説明されても全くわからないので、画像がないならとりあえず来てくださいとなってしまうんですよ。

仙台厚生病院では画像をLOOKRECで送ってもらうのが常態化していて、胆管の疾患のようだったらすぐに画像を見て、これなら待てるから来週頭の転院にする、などの判断に使ったりしています。仙台厚生病院のメインの診療科である循環器、消化器、呼吸器でLOOKRECは使っています。

コンスタントに患者さんを紹介いただいている

地域医療連携というと各地域でそれぞれのネットワークを作っているようですが、導入が大変だったり、コストがかさむと聞いています。その点、LOOKRECは安価ですし、簡単ですぐ使えました。

アプリケーションの導入は問題ありませんでしたが、誰がどのタイミングでデータをアップロードするかというような運用方法を整備するのに時間がかかりました。CTを撮り、仙台厚生病院に送るとなったときに、誰がこれをアップロードするのか、どの端末にアップロードするのか、医師の確認のタイミングなどですね。

最近になって1年分を集計してみたのですが、救急と通常の消化器や呼吸器のそこまで急がない患者さんの相談も合わせて60件くらいでした。多い月で5例くらい、3、4例くらいはコンスタントに紹介していただいているようなペースです。

これからも使い続けていくつもりですので、引き続きアップデートを期待しています。

病病連携、病診連携やLOOKRECのお問い合わせはこちらまで

    一般財団法人厚生会 仙台厚生病院
    https://www.sendai-kousei-hospital.jp/

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